コラム:世界の平均気温、初めて年平均で1.5度超過:地球温暖化の危機が顕在化
2025/01/16
気候変動の重要な指標「1.5度」を突破
欧州連合(EU)のコペルニクス気候変動サービス(C3S)の研究によると、世界の平均気温が2023年2月から2024年2月の間に観測史上初めて、工業化以前と比較して1.5度以上上昇しました。この記録は、気候変動による深刻な影響を抑えることを目標とした2015年のパリ協定における「1.5度以内」という基準を年平均で超えたものです。気温上昇の背景:人類活動と自然現象
この温暖化は、主に化石燃料の燃焼による二酸化炭素(CO2)排出が原因です。さらに、2023年後半から始まった自然現象「エルニーニョ現象」も気温上昇を加速させました。ただし、エルニーニョの影響は一時的で、長期的な温暖化の大部分は人間活動によるものです。気候変動がもたらす影響:世界各地で異常気象が頻発
C3Sのデータによると、1.5度の気温上昇が引き起こす影響として、洪水や干ばつ、熱波、森林火災などの異常気象が頻発しています。たとえば、2024年2月にはチリで大規模な森林火災が発生しました。さらに、世界の海水温も記録的な高さに達しています。これは、海洋生態系に深刻な影響を及ぼし、気候変動がもたらすさらなる課題を浮き彫りにしています。
1.5度上昇のリスク:臨界点を超える可能性
科学者によれば、気温上昇が2度に達すると、グリーンランドや西南極の氷床が崩壊するリスクが高まり、世界的な海面上昇が不可避となります。わずか0.5度の違いでも、気候変動による影響は大きく異なるため、1.5度以内に抑えることが重要とされています。温暖化対策の現状と未来への希望
パリ協定の目標を達成するためには、温室効果ガスの排出量を大幅に削減する必要があります。再生可能エネルギーや電気自動車など、技術革新によって排出量を削減する取り組みが進んでいます。専門家は、「破滅的な未来は避けられる」と述べており、今後10年で排出量を半減し、「ネット・ゼロ」を達成することで温暖化の進行を食い止めることが可能だとしています。