コラム:産廃処分場近くのコメ農家が「水質悪化」で作付けを断念—広島県の産業廃棄物問題が深刻化
2024/10/10
産廃処分場近くのコメ農家が「水質悪化」で作付けを断念—広島県の産業廃棄物問題が深刻化
広島県三原市にある産業廃棄物処分場をめぐり、住民と県の対立が長期化しています。
住民は処分場の認可取消を求めて訴訟を起こし、2023年の一審では住民側が勝訴しましたが、県が控訴し現在二審が進行中です。特に「水質の悪化」が原因で、近隣のコメ農家が作付けを諦める事態にまで発展しています。
コメ農家が直面する深刻な現状
広島県三原市本郷町に位置する日名内地区では、12軒のコメ農家のうち2軒がすでにコメの作付けを断念しました。
農家の男性は「カエルが死ぬような水では、田んぼに使えない」と語り、水質悪化が作付けに与える深刻な影響を訴えています。
広がる環境汚染の懸念
最終処分場のすぐ下を流れる川にはヘドロ状の堆積物が見られ、住民は水質の悪化を心配しています。
近くに住む住人は、「後世のために、きれいな川を守りたい」との思いを語りつつ、状況の悪化に対する不安を感じています。
裁判と行政の対応
2023年の一審で住民側の主張が認められ、広島地裁は処分場の認可取消を県に命じました。
しかし、県は控訴し、二審が進行中です。2023年10月1日の審理では、住民側が周辺の川の水質悪化を示す証拠を提出しました。
さらに、処分場の浸透水から基準値を超える鉛が検出されたことを受け、県は一時的に廃棄物の搬入停止を命じましたが、その後「必要な措置が完了した」として再開を許可しました。
コメ農家への影響と風評被害の懸念
処分場の問題が報道される一方で、農家は風評被害に悩まされています。
農家の柄崎雅司さんは、「おいしいコメを作っても、風評被害で売れなくなるのではないか」と懸念を示しています。
地元の農協は、農家の声を受けて、出荷されたコメの安全性検査を初めて実施する予定です。
10月中旬以降、周辺約30軒の農家からコメのサンプルを採取し、安全性を確認する方針です。