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コラム:SDGsにも設定されている「再生可能エネルギー」とは?
2023/10/13
私たちの暮らす地球はさまざまな環境問題を抱えています。温室効果ガスの排出が原因とされる「地球温暖化」や「気候変動」に関して解決策を探る中で、カーボンニュートラルという言葉が登場してもう久しいです。カーボンニュートラルの実現、温室効果ガスの低減に有効的とされるのが「再生可能エネルギー」です。SDGsでも再生可能エネルギーに関する設定がされています。

今回は再生可能エネルギーについて、概要や導入量などを見ていきます。
SDGsの目標7と目標13は?

2015年に国連サミットで採択された「SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)」においても、目標7でクリーンエネルギーについて、目標13で気候変動対策について設定されています。


■目標7「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」

目標7 「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」では、すべての人が安価かつ継続的に使える、持続可能で現代的なエネルギーを普及させ、地球上のエネルギー問題を解決することを目指しています。

「クリーン」はクリーンエネルギーを指し、ターゲットの一つである7.2では再生可能エネルギーの拡大、エネルギー利用効率の向上を求めています。


■目標13「気候変動に具体的な対策を」

目標13「気候変動に具体的な対策を」では、地球温暖化が招く世界各地での気候変動やその影響を軽減することを目標としています。

パリ協定では「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする」ことを目標として掲げています。そのために、世界レベルで脱炭素化(低炭素社会)へ移行する必要があります。脱炭素化は、二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスの排出量をゼロにすることで、再生可能エネルギーの活用を促進して、石油や石炭などの化石燃料からの脱却を目指します。

再生可能エネルギーとは?

再生可能エネルギーとは、石油や石炭などの有限な化石燃料以外の、自然界に常に存在して永続的に利用できるエネルギーのこと。「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用および化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律(エネルギー供給構造高度化法)」において、太陽光、風力、水力、地熱 、太陽熱、大気中の熱その他の自然界に存在する熱、バイオマス (動植物に由来する有機物)の7種類が定められています。

再生可能エネルギーは、発電時に温室効果ガスをほとんど排出しないとみなされているため、地球温暖化対策において重要性が高いです。再生可能エネルギーの活用を推進することは、国内のエネルギー自給率の向上、石油や石炭、天然ガスといった有限な地下資源・枯渇性資源の欠乏の対策に繋がります。

■太陽光発電

太陽の光エネルギーを、太陽電池を用いて直接電気に変換する発電方法です。 太陽光なので資源が枯渇することなく、また温室効果ガスも発生させません。太陽光パネルは屋根、壁などの未利用スペースに設置することができ、小規模なものは家庭に設置することも可能。雨や曇りの日、夜間は発電できないため天候に左右されるなどのデメリットもあります。


■風力発電

風の力を使って風車(タービン)を回し、風車が回転する運動を発電機で電気に変換する発電方法。風力発電は季節や気候に左右されやすいというデメリットもありますが、夜間でも発電することが出来ます。また、陸上だけではなく洋上に設置することも可能であり、海に囲まれた日本では洋上風力発電が注目されています。


■水力発電

水の持つ位置エネルギーを利用して、水を高所から低所へ流し、その力で水車を回転させて電気に変換する発電方法です。電気の需要変動に水の流れる量を調整する事で対応でき、かつ自然条件によらず一定量の電力を安定的に供給できるといったメリットを持ちます。

国内の豊かな水資源を利用する水力発電は歴史が長く、古くから日本のエネルギー供給源として役割を果たしてきました。しかし、開発地点の小規模化・奥地化が進んだことで高コスト化し、現在は開発を進めにくい状況です。


■地熱発電

地下に眠る地熱エネルギーを利用して、蒸気・熱水を取り出し、その力で直接タービンを回し電気に変換する発電方法です。 気象状況や季節、時間帯にも左右されず、高い安定性を持ちます。さらに、発電後の熱水は農業用のハウスなど幅広い用途で再利用することも可能で、地方創生にも役立てられるとされています。

世界有数の火山国である日本は、世界第3位の地熱資源量を持っており、その大きなポテンシャルからさらなる活用が期待されています。


■バイオマス発電

木屑や下水汚泥、一般廃棄物などをリサイクルして作られたバイオマス燃料を、燃焼してタービンを回して電気に変換する発電方法です。

バイオマス発電で排出されるCO2は、カーボンニュートラルの考え方に基づき、実質的に大気中のCO2を増加させないとされています。また、廃棄物をエネルギー源とすることができる発電方法のため、未活用の廃棄物を燃料とすれば廃棄物削減にも繋げることが出来ます。

日本の再生可能エネルギーの導入量は?

日本国内での2020年度の再生可能エネルギーによる年間発電電力量は1,983億kWhで、電源構成比で見ると19.8%でした。2012年度までは年間発電電力量の割合は約10%程度で推移していましたが、2012年7月にFIT制度(固定価格買取制度)が開始したことで、再生可能エネルギーの導入は大幅に増加しました。再生可能エネルギーの年間発電電力量に着目すれば、2011年度(10.4%)から2倍近くまで増加しています。

日本の再生可能エネルギー導入量は、国際機関の分析によれば世界第6位。このうち太陽光発電は中国、アメリカについで世界第3位となっています。発電電力量はこの8年間(2012年〜2020年)で約4倍に増えており、その増加スピードは世界平均の3.0倍を上回るほどです。


◼︎太陽光発電

FIT制度開始開始により、設置しやすい太陽光発電は、2011年度0.4%から2020年度7.9%(発電電力量:791億kWh)に増加しています。10kw以上の事業用を中心に、導入量や認定量が急増している一方、平地などの適地の減少や地域におけるトラブル(景観破壊、パネルの崩落、法令違反など)の増加などが問題となっています。


◼︎地熱発電

地熱発電の導入量は2011年度0.2%から2020年度0.3%(発電電力量:30億kWh )に微増。FIT制度が開始されてから、リードタイムが短く本格的な資源調査が不要な0.1万kW未満の小規模な施設の新規導入件数は増えています。しかし、その導入量は地熱発電全体の導入量と比較すると限定的で、累積導入量はほとんど増加していません。

世界第3位の地熱発電の資源量(2347万kW)で、長期的・安定的に発電可能と高いポテンシャルをひめています。さらなる導入拡大に向けては、国の支援や規制・制度の見直しによるリードタイムの短縮が求められるでしょう。


◼︎風力発電

風力発電の導入量は2011年度0.4%から2020年度0.9%(発電電力量:90億kWh)と、全体で見ると決して多くはありませんが、2011年度から約2倍に増えています。2022年3月時点のFIT前導入量+FIT認定量は1,500万kwで、そのほとんどが陸上風力。導入量については、環境アセスメントの手続きや電力系統への接続などの問題から、同時点で約480万kWにとどまっています。

2050年のカーボンニュートラルの実現に向け、日本政府は洋上風力発電を2030年までに1000万kWh、40年までに3000万~4500万kWh以上まで拡大するビジョンを示しています。着床式・浮体式の洋上風力発電は現時点では導入案件は少ないですが、2019年施行の再エネ海域利用法に基づいた促進地域を中心に各地で計画が進行するなど、今後の導入拡大が見込まれています。


◼︎水力発電

水力発電の導入量は2020年度7.8%(発電電力量:90億kWh)と、2011年度と割合に変化はありませんでした。中小水力発電については、2022年3月末時点のFIT前導入量+FIT・FIP認定量は1,020万kW、導入量は980万kW。小水力発電は小規模な設備の新規導入が進んでいますが、リプレース(設備更新された案件)も多く、累積導入量はほとんど増加が見られません。

今後の拡大に向けては、高経年化した既存設備の改修・リプレースするとともに、持続可能なものにすることが求められます。また、新規開発地点の奥地化・規模小型化による高コスト化といった課題に対応していく必要があります。


◼︎バイオマス発電

バイオマス発電の導入量は2011年度1.5%から2020年度2.9%(発電電力量:90億kWh)と、倍近くまで増加。2022年3月末時点のFIT前導入量+FIT・FIP認定量は、バイオマス発電全体で1,060万kW。FIT制度開始以降、認定量や導入量は確実に伸びており、輸入材を中心とした木質バイオマスを燃料とする設備が増加しています。

さらなる導入、拡大に向けては、発電コストの7割を占める燃料費を低減、発電効率の向上、所内使用電力の抑制するなどして、競争力のある水準まで発電コストを低下させ、自立化を図ることが求められます。


いかがでしたでしょうか?

2015年にSDGsが国連サミットで採択され、2050年までのカーボンニュートラル実現が目指されている今、再生可能エネルギーの推進は非常に重要です。再エネの導入は、民間事業者・地方公共団体等でも推進していくことが求められています。

2016年に電力小売事業が自由化され、企業の判断で再生可能エネルギーを選択することが可能になっています。再生可能エネルギーを導入することは、企業価値の向上やビジネス機会の創出に繋がると考えられています。再生可能エネルギーはビジネスにおいても重要なトピックスであり、企業の持続的成長を考える上で今後ますます重要性が高まっていくでしょう。


CO2削減は国際的な課題であり、企業においても環境へ配慮した経営が望まれている今、再生可能エネルギーをはじめとした取り組みを進めていくことが求められています。サスティナブル経営・SDGs取り組みなどについて、お困り、疑問がある方は、FCBホールディングまでお問い合わせください!

※参考:資源エネルギー庁「2050年カーボンニュートラルの実現に向けた検討」
※参考:資源エネルギー庁「2050年カーボンニュートラル達成に向けた水力発電活用拡大の方向性 ver1.0」