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コラム:廃棄食材のリサイクル方法、アップサイクルした製品をご紹介!
2023/09/19
本来まだ食べられるのに捨てられてしまう食品のことを指す「食品ロス」。日本国内では、なんと年間約520万トンの食品ロスが出ていると言います。

食品ロスを減らすための取り組みは世界各国で見られており、食品リサイクルに関する法律や「SDGs」でも食品ロスに関するターゲットが設定されています。食品廃棄物を再活用・循環させるための動きは年々活発になっています。

今回は、廃棄されるはずだった食材のリサイクル方法や、アップサイクルの取り組みについてです。



廃棄食材のリサイクル手段は?

廃棄食材をリサイクルする手法には、飼料化や肥料化、油脂や油脂製品への利用、メタン利用、熱回収などがあります。


◼︎飼料化

飼料化は、食品残さなどを再利用して家畜用飼料を製造すること。飼料化する方法として主なのが乾燥方式で、発酵、蒸煮、油温減圧式といった手法があります。そのほか、乳酸発酵させて製造し牛用飼料となるサイレージ方式、液状に加工し製造し豚用飼料となるリキッド方式があります。

  • 発酵...微生物資材を入れて、高温で発酵して乾燥させる
  • 蒸煮...加圧蒸煮処理し、固形分は乾燥、液体分は油脂を抽出
  • 油温減圧...廃食油等で加熱し水分を蒸発させ、減圧する

【企業による取り組み例】
ワタミグループの愛知県津島市にある「ワタミ手づくり厨房」中京センターでは、「ワタミの宅食」の弁当・惣菜を製造する際に生じた栄養豊富な調理残さや野菜くずを飼料化。その飼料を養鶏生産者が餌として与え、育てた鶏の卵を使用したマヨネーズを「ワタミ手づくり厨房」中京センターで製造するお弁当・お惣菜に使用しています。



◼︎肥料化・堆肥化

肥料化・堆肥化は、微生物で廃棄食材を分解・発酵させ、肥料や堆肥をつくることです。堆肥と肥料の違いは、堆肥は土壌を良くするために使われ、肥料は植物の栄養として使われるという点です

【企業による取り組み例】
びっくりドンキーを運営する株式会社アレフは、1997年から店舗に生ごみ粉砕乾燥処理機「ゼロワンダー」を順次導入。生ごみをゼロワンダーに入れることで、粉砕、発酵乾燥の工程を経て、堆肥づくりの発酵促進材へと生まれ変わらせます。これを協力牧場に運び、敷わらや家畜のふん尿と混ぜ、発酵させて堆肥を作ります。出来た堆肥は、自家利用の用途以外にも、園芸肥料としての販売もしているようです。



◼︎メタン利用

メタン化とは、食品廃棄物を細菌でメタン発酵し、メタンガス(バイオガス)を生成することです。生成されたメタンガスは、電気(バイオマス発電)や熱などのエネルギー源として再利用でき、省エネルギーや分散型エネルギーの構築に貢献します。

飼料化や堆肥化には不向きな分別の難しい食品廃棄物でも、問題なく処理できるメリットがある方法です。

【企業による取り組み例】
キユーピーグループでは、製造過程で発生するマヨネーズなどの食品残さをバイオガス発電へ活用しています。この取り組みは、キユーピーの五霞工場、中河原工場、泉佐野工場、神戸工場、グループ会社(株式会社ケイパック)で行われています。





廃棄食材をアップサイクルした製品とは?

食品廃棄物を再活用して、別の食品や製品に生まれ変わらせる「アップサイクル」の取り組みがひろがっています。

★アップサイクルとは…?
アップサイクルとは、創造的再利用とも呼ばれ、副産物や役に立たない/不要な製品、廃棄物など、本来であれば捨てられるはずだったものに、新たな付加価値を持たせて新しい材料または製品に生まれ変わらせること。クリエイティブ・リユース(創造的再利用)とも呼ばれています。


◼︎お酒

・廃棄コーヒー豆/パン耳をビールへ
アサヒグループホールディングスでは、廃棄食品を活用した「アップサイクルビール」を発売しています。第一弾は東京・蔵前地区のカフェや焙煎店で廃棄されていたコーヒー豆を回収し、ビールの原料として再利用した「蔵前BLACK」。第二弾は蔵前のパン・サンドイッチ専門店でサンドイッチ製造で発生する廃棄予定のパン耳を活用した「蔵前WHITE」。

なお、原料の全てをパン耳やコーヒー豆で代用しているのではなく、風味付けという意味合いで原料の一部を代用しているようです。



・カカオ豆の皮からクラフトジンへ
ロッテ浦和工場でつくるチョコレートの製造過程で出たカカオハスク(カカオ豆の皮)を有効活用し、クラフトジン「CACAO GIN」を外部パートナーと開発・販売。香り、味わい、見た目など、全てにカカオの特長を感じられる仕上がりになっているそう。1本(700ml)あたり、カカオ豆約400個分のカカオハスクを使用しています。



◼︎文房具

・廃棄野菜をクレヨンへ
mizuiro株式会社から、米と野菜から作られたクレヨン「おやさいクレヨン」が販売されています。「おやさいクレヨン」は米ぬかをアップサイクルした米油とライスワックスをベースに、野菜の端材や規格外品などの粉末を原材料に作られています。色を補う顔料も食品に使用されるものを採用しているため、万が一口に入れてしまった場合にも安心といえるクレヨンです。同社からは他に「おこめのクレヨン」「おはなのクレヨン」も販売されています。



・お米を紙へ
紙や紙製品の商品の販売を行う株式会社ペーパルが、廃棄される米や非食用米を活用した紙素材「kome-kami(コメカミ)」を開発・販売。食用に適さない古米や流通段階などで食品として利用できなくなってしまったお米、メーカーなどで発生する破砕米などが活用されています。用途は多岐に渡り、フライヤーや紙袋、ノート、封筒から名刺、パッケージまで、さまざまな製品に使われています。



◼︎衣料品

・ビールの副産物をデニム生地へ
サッポロビールがビールの副産物からデニムの生地を生み出しています。そして、サトウキビからデニム製品への加工を行う外部企業と共同で「アップサイクルジーンズ」を製品化。デニムの生地には、ビール作りの工程で麦汁を搾ったあとに派生するモルトフィードや、ホップの収穫時に出る茎や葉などが使われているとのこと。



・りんごをリュックへ
イオンは、リンゴを使った通学リュックを一部店舗から発売しています。ランドセルに代わる選択肢として発売されており、かぶせ(ランドセルの収納部を被せる蓋の部分)が取り外し可能な2WAYタイプとなっています。このかぶせに使われているのが、アップルレザーという環境に優しい素材です。アップルレザーは、ジュース生産時に排出されるりんごの皮や搾りかす約44個分から作られています。



◼︎建材

・茶殻を建材へ
伊藤園では、自社による「茶殻リサイクルシステム」を活用して、茶殻を配合した様々な建材を外部企業と共同開発しています。抗菌性や消臭性などお茶の特徴が生かされた、デザインウォール(セメント質と繊維質が主な原料の壁材)や石膏ボード、タイル、畳などの製品を生み出しています。



いかがでしたでしょうか?

今回は、廃棄されるはずだった食材のリサイクル方法や、アップサイクル製品をご紹介してきました。

食品廃棄物はゴミとして処分するだけではなく、飼料、肥料、メタン等にリサイクルすることもできます。ただ処分されるだけだったものも、再資源化されることで、資源の消費を抑制し、環境への負荷をできる限り減らすことが可能となります。

FCBホールディングでは、食品リサイクルについてのご相談やお悩みに対しても、最適なご提案をいたします。食品リサイクル化によるコスト削減のほか、食品リサイクル法への対応、食品残さの一部の買い取りなどを実現しております。処理フローを知りたい、どれがリサイクル対象となるか分からないなど、食品リサイクルについてお困りの方、疑問がある方は、FCBホールディングまでお問い合わせください!