その他

お知らせNEWS


コラム:有価物とは?概要やそれぞれの市況について
2022/10/18
原材料価格や物流費の高騰、円安などの影響から、あらゆるモノの「値上げ」が止まりません。ただモノによっては、いまだに高騰し続けるものもあれば、反対に価格上昇が落ち着き、相場が下がりつつあるものもあります。

今回は主に有価物の現在の価格相場、および市況について見ていきます。



(写真素材:photo AC)


有価物とは?

有価物とは、「有償で売却できるもの」のことを言います。自分で使える、もしくは、自分にとって必要なくとも誰かにとっては必要な「その物自体の価値はまだ残っている物」を指します。

例えば、使い古した家電や古着など、自分にとっては不要なものであっても、有償で売却できる場合は「有価物」に分類されます。反対に、価値がゼロと判断できるものは廃棄物に当たります。

【有価物の例】

金属屑

非鉄金属:銅スクラップ、砲金スクラップ、真鍮スクラップ、被覆電線スクラップ、アルミスクラップ、ステンスクラップ、鉛スクラップ、亜鉛スクラップ

鉄スクラップ:鉄骨、トタン、空き缶、スチール、ギロチン材、ドラム缶

その他スクラップ:バッテリー屑、貿易スクラップ、機械スクラップ、ミシン、編み機、草刈り、アルミ付タイヤ、pH電極、電極、 電線、アルミ缶、アルミホイル、アルミ箔、デスク、イス、メンテナンス部品、ベアリング、金属部品、端材、部材カス、鉄切削くず

古紙類

段ボール、新聞、雑誌、コピー紙、チラシ、カタログ、事務用品(紙製)、シュレッダー紙、封筒、包装紙、トイレットペーパーの芯、台紙、紙箱、紙管、紙袋、説明書、能書

樹脂類

プラスチック類、ペットボトル、プラスチックボトル、樹脂パレット、トレイ、クリアケース、中栓、キャップ、携帯サック、ケース プラスチック、ビニール類、フィルム、プラスチック切削くず

ガラス類

ガラス容器、ガラス器具

中古品

中古商品、中古製品、物流機器、工作機械、その他製造物


有価物と廃棄物の判断は、原則的に以下の5つの要素を総合的に判断されます。以下の基準の1つで廃棄物だったとしても、他の基準に照らした場合に有価物になる可能性があり、有価物か廃棄物かの判断は非常に難しいと言えます。

  1. その物の性状…品質が利用用途に合っており、かつ飛散や流出、悪臭等がないか
  2. 排出の状況…計画的に排出されており、適切な保管・品質管理がされているか。
  3. 通常の取扱い形態…製品として市場が成立しているか。
  4. 取引価値の有無…受け取る側に対し、有償で引き渡されているか。
    ※処理料金に該当する金品の受け渡しがあると廃棄物とみなされる。また引き渡し時の価格が、輸送費用などを差し引いても引き渡し側に損失がある場合も、廃棄物の収集運搬とみなされる。
  5. 占有者の意思…占有者に適切な利用、または他人に有償で引き渡す意思があるか。


現在の市況や価格は?

それでは、有価物の現在の価格はどうなっているのでしょうか? ここでは、一部を紹介していきます。


■金属屑 
・スクラップ鉄
鉄スクラップ【H2】の価格(円/トン)
(東京)37000(大阪)33500
※2022/10/6調べ 出典:産業新聞

国内鉄スクラップ市況は、4月下旬をピークに7月にかけて値下げ基調が続きましたが、8月中旬に急激な相場の上昇を見せました。9月も上旬にかけて堅調に推移していたものの、海外市況の軟化を映し、中旬以降は全国に値下げの動きが広がりました。10月6日にはトン当たり500―1000円続落。

国内価格は海外相場と比較すると割高感があり、国外からの日本産に対する引き合いが後退。さらに、アジアの鉄鋼需要減を背景に、日本からの輸出不振で下落しました。足元相場は弱いものの、国内の市中発生や荷動きは芳しくなく、さらに円安の影響により下落ピッチは緩やかで、相場と荷動きの不一致が起きています。今後の相場の方向性が不透明である一方、どのタイミングで増えるのか注目されます。



・アルミ缶/アルミスクラップ
アルミ缶(プレス)の価格(円/キロ)
164~169円(前年同月:141~146)
※2022/8/26時点、非鉄金属問屋買い入れ単価  出典:日本経済新聞

アルミスクラップ:新切れアルミ一級の価格(円/キロ)
(東京)259(大阪)257
※2022/10/7調べ 出典:産業新聞

アルミスクラップの代表的な品種としては、アルミダライ粉、アルミ切り粉、アルミ切削屑、新切アルミなどがあります。また、缶プレスというアルミ缶をプレス処理したものもあります。アルミスクラップは品目や相場によって価格が変動します。

金属価格の国際的な指標である、ロンドン金属取引所(LME)のアルミ相場は、2020年春に1トン=1,500ドルまで下がった後は上昇。ウクライナ紛争開始直後、2022年3月上旬には一旦4,000ドルの高値をつけました。しかしそこをピークに下落が続き、9月には2,228ドルまで後退しました。10月14日には、さらに相場は下落しました。これには、在庫の増加により供給が潤沢になったと示されたことが背景にあります。

供給不足との見通しだったLMEのアルミ在庫は、需要の伸び悩みにより供給過剰とみられていました。半導体不足などで自動車の減産が続いており、依然アルミ需要は弱いまま。 さらに世界的な景気後退、最大消費国である中国での新型コロナウイルス感染拡大を理由に、需要・相場が抑えられると懸念されます。


・銅(銅スクラップ)
銅の価格
7,538.50 USドル/トン 
円換算: 1,121,974 円/トン
※2022年10月14日時点  LME(ロンドン金属取引所)での先物清算値

銅スクラップには、ピカ一号銅線、ピカ二号銅線、上銅、並銅、込銅、下銅などの品目があり、品目によって売買に設定される金額は変わります。また、銅相場によっても変動します。

LMEの銅価格は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う、各国の金融緩和などを受け高騰、2021年5月上旬頃には史上初めて1トン=10,000ドルをつけました。その後は高止まりを見せていましたが、最近は下げが続きます。10月14日には、各国の中央銀行のインフレ抑制に向けた利上げや、中国での新型コロナウイルス感染拡大による経済成長への懸念が広がり、7,538ドルまで下落。

脱炭素の動きが加速し、銅が多用される電気自動車需要の高まりへの期待から、国内の銅の取引基準となる価格は、高水準につけています。しかし、日本国内の銅市況も、国際相場の影響を受けることから、下げ基調に転じる可能性も。



■古紙類 
・古紙(段ボール・新聞・雑誌)
古紙(東京市場)の価格(円/キロ)
段ボール:5〜8円(前年同月:6円)
新聞:6〜7円(前年同月:4〜7円)
雑誌:2〜4円(前年同月:2〜3円)
※2022年9月29日時点、回収問屋買値、現金  出典:日経市況

古紙の国内価格は4〜5月に軒並み上昇し、段ボール・雑誌古紙は4月末時点で、新聞古紙は5月上旬時点で上値が1円切り上がりました。段ボール古紙が約2年半ぶり、雑誌古紙も約2年ぶりの高値につけ、現在も高止まりしています。

関東製紙原料直納商工組合によれば、8月末の製紙原料の古紙在庫(32社分)は、段ボール・新聞・雑誌の3品合計で2万3663トンと、前年同月末に比べ5%減少。主力の段ボール古紙は前年同月末比7.9%減となり、9ヶ月連続マイナスという結果に。

通販の輸送に使う段ボールの原料需要が堅調な一方、新型コロナウイルス流行にともない、ペーパーレス化が飛躍的に進み古紙の排出が減少しています。

段ボールの需要は堅調ながら、これから年末商戦などの需要期を迎えることもあり、買い手による前倒し需要が発生。製紙各社が古紙の確保に動いており、段ボール原紙とともに古紙の値上がり圧力も高まるとみられます。



■樹脂類 
・廃ペットボトル
廃ペットボトルの平均落札単価(円/キロ)
115.4円

廃ペットボトルの市況は、高止まりしています。公益財団法人日本容器包装リサイクル協会によれば、下期のペットボトルの入札結果は、平均落札単価は-115.4円/kgと過去最高値を更新(容リ入札は逆有償が前提なので、有償取引はマイナスで示される)。-100円/kg台に乗せたのは史上初のことであり、上期の64.2円に比べて51.2円/kg(80%高)の上昇、昨年同期(43.0円)に比べると2.7倍にも上昇しています。

過去に例を見ないほどの高止まりを見せているのは、飲料メーカーがが主導するボトルtoボトルの需要が増したことが大きいでしょう。再生ボトルの比率を高めるため、再生ペットボトルの消費量を増やしており、品質の高い家庭系ペットボトルは争奪戦となっています。飲料メーカーは独自に自治体と提携することで、ペットボトルの囲い込みに動いてはいるものの、脱炭素の流れで再生樹脂の需要は伸びているため、今後も割高感が強まる可能性があります。




いかがでしたでしょうか?

今回は主に有価物と言われるモノの現在の相場、および市況について見てきました。

環境負荷や廃棄物の埋め立て処理問題など地球が抱える環境問題解決のためにも、リサイクルやリユースが推進されています。持続可能な社会の実現のためにも、有価物に当たるものはリサイクル・リユースに回しましょう。

現在、様々な影響によりモノの値上げ値下げが起きています。有価物の市場価格や動向を見極めながら、売買を行うと良いでしょう。有価物の買取を検討、または相談したいことがあるという方は、当社までお問い合わせください!