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コラム:廃棄物処理法とは? 概要を詳しく解説!
2022/09/13
日々、生活や事業活動を送る上で、ごみの排出は免れません。ごみは正式には「廃棄物」と呼ばれ、排出者やその種類によって大きく「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に分類され、それぞれ処理方法等が異なります。

こうした、廃棄物の分類や処理に関するルール、罰則などが細かく規定している「廃棄物処理法」という法律があります。廃棄物を排出する事業者や処理事業者は、基本的にこの法律に則って事業を進めていかなければなりません。

今回は廃棄物処理法について、詳しく解説していきます。
(写真素材:photo AC)


廃棄物処理法とは?

廃棄物処理法は、正式名称を「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」と言い、廃棄物の処理や清掃に関する各種規定が定められている法律。廃棄物そのものの排出を抑制しつつ、適正な処理(分別、保管、収集、運搬、再生、処分など)の方法を定め、人々の生活環境を守ることを目的としています。

大まかな内容としては、「法律の目的」「廃棄物の定義」「処理・保管等の方法」「責任の所在と罰則」などが記載されています。産業廃棄物の排出事業者や処理事業者は、基本的にはこの法律に則りながら、その事業を進めていかなければなりません。

【法文の構成内容】
第1章 総則
第2章 一般廃棄物
第1節 一般廃棄物の処理
第2節 一般廃棄物処理業
第3節 一般廃棄物処理施設
第4節 一般廃棄物の処理に係る特例
第5節 一般廃棄物の輸出
第3章 産業廃棄物
第1節 産業廃棄物の処理
第2節 情報処理センター及び産業廃棄物適正処理推進センター
第3節 産業廃棄物処理業
第4節 特別管理産業廃棄物処理業
第5節 産業廃棄物処理施設
第6節 産業廃棄物の処理に係る特例
第7節 産業廃棄物の輸入及び輸出
第3章の2 廃棄物処理センター
第3章の3 廃棄物が地下にある土地の形質の変更
第4章 雑則
第5章 罰則
附則


廃棄物の定義は?

廃棄物は廃棄物処理法で、以下のように定義されています。
ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であつて、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによつて汚染された物を除く。)


そして、「一般廃棄物」と「産業廃棄物」は下記のように定められています。


一般廃棄物
産業廃棄物以外の廃棄物。一般廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものは「特別管理一般廃棄物」とされています。


産業廃棄物
事業活動にともなって生じた廃棄物のうち、法令で定められた20種類のもの(燃え殻、汚泥、廃油など)を指します。産業廃棄物のうち、爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有するものを「特別管理産業廃棄物」と言います。



廃棄物処理法の対象は?

廃棄物処理法に特に関わるものとしては、大きく2つ「産業廃棄物を排出する排出事業者」と「産業廃棄物を運搬・処理する処理事業者」に分けられます。


■処理責任 <排出事業者>

産業廃棄物の処理責任は排出事業者にあり、事業活動に伴って生じた廃棄物を、自らの責任で処理しなければならないとされています。自ら処理できない場合には、委託業者に依頼して処理をしてもらう必要があります。委託先の処理業者は都道府県に許可を得ていなければならず、また「委託基準」に則った産廃委託契約を書面で取り交わさなければなりません。



★一般廃棄物の処理責任は…
一般廃棄物の処理責任は市町村にあり、一般廃棄物処理業者に市町村が事業許可を行い、監督の下、適正な処理が行われます。ただ一般廃棄物処理施設の設置や譲渡などの許可・監督は都道府県が行っています。



■処理事業者の責任 <処理事業者>

産業廃棄物の収集・運搬や処分を行う処理事業者は、処理を行おうとする場所等の都道府県知事あるいは政令指定都市は市長から許可を得る必要があります。運搬や処理にあたっては、保管基準や収集運搬基準、処理基準を遵守することが義務付けられています。マニフェストを交付された場合は、必要事項を記入して排出事業者へと返送しつつ、処理実績を正しく把握するための帳簿の作成等が義務付けられています。


■委託基準 <排出事業者・処理事業者>

排出事業者が産業廃棄物の運搬や処理を他の業者に委託する場合、その業者と書面による委託契約書を締結する必要があります。契約書は産業廃棄物の処理を委託する収集運搬事業者・処分事業者、それぞれと直接取り交わさなければならないと決められています。委託先の業者は、都道府県から許可を得ていなければなりません。


■マニフェスト制度 <排出事業者・処理事業者>

産業廃棄物の収集・運搬・中間処理・最終処分などを処理業者に委託する場合、委託者は業者へマニフェストを交付しなければなりません。排出事業者は、マニフェストを使用し、委託した産業廃棄物が最終処分まで適正に処理されたかどうか確認する義務があります。処理業者は、交付されたマニフェストに対し、委託された業務がいつ完了したかを記載して返送することになっています。


■実施状況の報告 <排出事業者>

マニフェストを交付した排出事業者は、年一回、前年度(前年4月1日から当年3月31日)に交付したマニフェストについて、都道府県知事等へ報告しなければならないとされています。



廃棄物処理法の「基準」とは?

廃棄物処理法では、廃棄物の取り扱い方法についても細かい規定が定められています。下記は代表的な「基準」について一部をご紹介しています。


■処理基準

産業廃棄物の収集・運搬の方法に関する「収集運搬基準」と、処分の方法に関する「処分基準」の2種類あります。

【収集運搬基準】
  • 廃棄物が飛び散ったり、漏れ出したりしないようにする。
  • 悪臭や騒音、振動などに対して必要な措置を講じる。
  • 運搬車の外側に「産業廃棄物収集運搬者」であることを表示する。
  • 運搬車に、事業所の名称や連絡先、運搬先の所在地、産業廃棄物の種類などを記した書類を携行する。

【処分基準】
  • 中間処理時に廃棄物が飛び散ったり、漏れ出したりしないようにする。
  • 中間処理時の悪臭、騒音、振動等に対して必要な措置を講じる。
  • 焼却時には燃焼室ガス温度800℃以上で焼却する。
  • 焼却処理には必要な空気量を確保する通風設備を用意する。
  • 焼却処理には燃焼室内温度の測定を行う。
  • 焼却処理に関して燃焼室温度保持のための助燃装置を設置する。
  • 焼却時に煙突先端から火炎・黒煙がでないようにする。
  • 焼却時に煙突から焼却灰および未燃物が飛散しないようにする。


■保管基準

排出者が廃棄物を一時的に保管する場合に義務付けられている基準
  • 保管期間は、収集・運搬や処理を行うまでのやむを得ない期間のみとする。
  • 保管場所の周囲に囲いを設ける。
  • 保管場所の見やすい場所に、必要事項を記載した掲示板を設ける。
  • 積み上げた産業廃棄物が決められた高さを超えないようにする。
  • ネズミやハエ、蚊などの害虫が発生しないようにする。
  • 廃棄物の飛散や流出、地下浸透や悪臭の発散が起きないようにする。


■委託基準

排出者が、産業廃棄物の収集・運搬や処理を別の業者に委託する場合に義務付けられている基準
  • 委託する業者と書面で契約書を交わす。
  • 収集・運搬と処分を別の業者に委託する場合、それぞれ契約書を交わす。
  • 契約書は契約終了後5年間保存しておく。
  • 産業廃棄物管理票(マニフェスト)を委託する業者に交付し、その処理状況を確認・管理する。

廃棄物処理法における罰則とは?

廃棄物処理法では、違法行為が細かく定められています。行政指導や行政処分、刑事処分といった罰則があるため、違反しないよう十分に注意して運用する必要があります。以下は代表的な罰則の一例です。

無許可営業

都道府県知事等からの許可を受けずに、廃棄物の収集や運搬、処分の事業を行った時

5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこの併科

委託基準違反(法第25条第1項第6号)

排出事業者が廃棄物の運搬や処分を、委託基準に則っていない業者に委託した時

5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこの併科

処理施設の無許可設置

都道府県知事等からの許可を受けずに、廃棄物の処理施設を設置した時

5年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金又はこの併科

施設無許可譲受け

・無許可借受け

許可施設である廃棄物処理施設を無許可で譲り受け、または借り受けたとき

3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金又はこの併科

排出者管理票交付義務違反、記載義務違反、虚偽記載

排出事業者が産業廃棄物の運搬・処分を委託する際に、マニフェストを交付しなかったり、記載すべき事項を記載せず交付したり、虚偽の記載をして交付した時

1年以下の懲役又は100万円以下の罰金

運搬受託者管理票回付義務違反

運搬業者が、排出事業者から交付されたマニフェストを、処分業者に回付しなかった時

1年以下の懲役又は100万円以下の罰金

電子管理票虚偽登録

電子マニフェストにおいて必要事項を登録する際、虚偽の登録をした時

1年以下の懲役又は100万円以下の罰金



いかがでしたでしょうか?

今回は「廃棄物処理法」について解説してきました。

廃棄物処理法は、日々ごみを排出する私たちにとって身近であり、重要な法律です。廃棄物は適切に処理されなければ公衆衛生や生活環境を悪化させる可能性があり、廃棄物処理法は厳格に規定が定められ、厳しい罰則もあります。事業を推進していくため、排出事業者の責任など廃棄物処理法を理解し、事業所で排出されている産業廃棄物の状況を確認・把握する必要があります。

しかし、廃棄物処理は専門的な部分が多く、分かりづらい・不明瞭だと感じる方も少なくはないでしょう。事業所の廃棄物の現状把握やコンプライアンス強化をお考えで、「時間がない」「何から手を付ければいいかわからない」とお困りの方は、ぜひFCBホールディングまでお問い合わせください!