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コラム:エルニーニョ現象が過去最大の強さに 2026年の記録と日本への影響を解説
2026/10/16

2026年10月、気象庁は、春から続いているエルニーニョ現象が9月に過去最大の強さになったと発表しました。監視海域の海面水温は、基準値を4.0℃上回り、これまでの記録を更新。現象は冬にかけても続く見通しです。

エルニーニョ現象は、世界各地の気温や雨の降り方に影響を与える自然の気候変動です。ただし、発生すれば日本で必ず暖冬になる、あるいは特定の災害が起きるというわけではありません。今回の記録が何を意味するのか、仕組みや注意点とあわせて解説します。

エルニーニョ現象とは

エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の中部から東部にかけて、海面水温が平年より高くなる状態が続く現象です。気象庁は、赤道付近の監視海域における海面水温の変化を指数化し、その5か月移動平均が基準を満たす状態が6か月以上続いた場合に、エルニーニョ現象が発生したと判断します。

通常、赤道付近では東から西へ吹く貿易風によって、海面近くの暖かい海水が太平洋の西側へ運ばれます。エルニーニョ現象が起きると、この風が弱まり、暖かい海水が中部から東部にも広がります。海面水温の変化は、雲や雨を生む大気の動きにも影響し、熱帯地域を中心に大気の流れや降水パターンを変化させます。

2026年9月、監視海域の海面水温が過去最高に

気象庁が2026年10月9日に発表した「エルニーニョ監視速報」によると、9月の監視海域の海面水温は、基準値を4.0℃上回りました。これは、1949年以降で最も高かった1997年12月のプラス3.6℃を超える値です。気象庁は、春から続いている現象が9月に過去最大の強さとなり、冬にかけても続く見込みとしています。

ここでいう「4.0℃」は、監視海域の海面水温と、その時期の基準値との差です。海の温度全体が一律に4℃上がったという意味ではありません。また、これは太平洋の一部を観測した結果であり、地球全体の平均気温を示す数値でもありません。記録の意味を捉えるには、どの海域を、どの基準と比較した数字なのかを確認することが大切です。

世界の気温や雨の降り方に影響する

エルニーニョ現象によって熱帯太平洋の海面水温や大気の動きが変わると、遠く離れた地域の天候にも影響が及ぶことがあります。地域によって、気温が高くなりやすくなったり、雨が多くなったり、反対に雨が少なくなったりする傾向が現れます。

世界気象機関(WMO)は、2026年のエルニーニョ現象が強まり、世界の広い地域で平年を上回る気温となる可能性や、地域ごとに降雨パターンが変わる可能性を示しています。雨が多くなる地域がある一方、干ばつのリスクが高まる地域もあるため、影響は一様ではありません。実際にどのような天候になるかは、エルニーニョの強さや継続期間、ほかの海洋・大気の状態によって異なります。

気温や降水量の変化は、農作物の生育、水資源、森林火災のリスクなどにも関係します。そのため、各国の気象機関や自治体、農業・防災に関わる事業者は、季節予報や地域ごとの情報を確認しながら備える必要があります。

日本では暖冬傾向が見られることも

日本では、エルニーニョ現象が発生した冬に、気温や降水量に一定の傾向が見られることがあります。気象庁の過去の統計では、西日本の気温は平年並みか高く、冬の前半は北日本や沖縄・奄美でも高くなる傾向があります。また、東日本の太平洋側や沖縄・奄美では、降水量が多くなる傾向が示されています。これらは過去の事例から見た統計的な傾向で、毎回同じ天候になることを意味しません。

実際、気象庁は10月9日の発表で、9月の日本ではエルニーニョ現象に特徴的な天候は明瞭に見られなかったとしています。日本の天候には、偏西風の位置や高気圧・低気圧の動きなど、さまざまな要因が関係します。エルニーニョ現象だけを根拠に、今冬の気温や雪の量を断定することはできません。暖冬傾向が予想される場合でも、寒波による大雪が起きる可能性はあります。具体的な見通しは、気象庁の最新の季節予報や気象情報で確認することが重要です。

地球温暖化とエルニーニョは別の現象

エルニーニョ現象と地球温暖化は、混同されやすいものの、性質が異なります。エルニーニョ現象は、太平洋の海と大気の状態が数か月から数年単位で変動する自然現象です。一方、地球温暖化は、温室効果ガスの増加などを背景に、地球全体の平均気温が長期的に上昇する現象です。

そのため、今回のエルニーニョ現象を「地球温暖化が直接引き起こした」と断定することはできません。ただし、エルニーニョ現象が、すでに高温傾向にある世界の海や大気と同時に現れることで、地域によっては高温や大雨、干ばつなどのリスクが重なる可能性があります。自然の気候変動と人為的な温暖化を分けて考えながら、それぞれが社会や環境に与える影響を把握することが必要です。

予報を確認し、地域ごとの備えにつなげる

過去最大の強さという発表は、エルニーニョ現象の監視海域で記録的な海面水温の偏差が観測されたことを示しています。世界の広い地域で気温や雨の降り方に影響する可能性がある一方、日本での具体的な影響は、ほかの気象条件とあわせて判断する必要があります。

重要なのは、見出しだけで「暖冬になる」「大雪は降らない」と決めつけず、更新される季節予報や地域の気象情報を確認することです。農業や観光、物流、水資源の管理など、天候の影響を受けやすい分野では、複数の予測をもとに状況の変化を見込み、地域に合った対策を検討することが求められます。

まとめ

2026年9月、エルニーニョ監視海域の海面水温は基準値を4.0℃上回り、気象庁の観測記録を更新しました。現象は冬にかけて続く見込みですが、日本の天候への影響が一律に決まるわけではありません。

エルニーニョ現象は自然の気候変動であり、地球温暖化とは区別して考える必要があります。記録の数字だけで先の天候を断定せず、最新の予報を確認しながら、地域や事業に応じた備えにつなげていきましょう。