コラム:国が「サステナブルファッション・キャンペーン」を開始 衣類を長く使い、資源として循環させる社会へ
今回のキャンペーンでは、「質の良い衣服を大切に着る」「衣服は資源として次の世代、人、ものへつなぐ」といった考え方を広げ、サステナブルファッションを日常生活の中に定着させることを目指しています。
衣類は私たちの生活に欠かせない一方、その生産から廃棄までには多くの資源やエネルギーが使われています。大量生産・大量消費・大量廃棄から脱却し、衣類をできるだけ長く使い、再利用やリサイクルにつなげていくことが課題となっています。
今回は、国が新たに始めた「サステナブルファッション・キャンペーン」の内容と、日本の衣類を取り巻く現状、私たちにできる取り組みについて紹介します。
サステナブルファッションとは
サステナブルファッションとは、単に環境に配慮した素材を使用した服を選ぶことだけを意味するものではありません。
環境省では、衣服の生産から着用、廃棄までの過程において、将来にわたって持続可能であることを目指し、生態系を含む地球環境や、衣服に関わる人・社会にも配慮した取り組みをサステナブルファッションと位置付けています。
その考え方には、服を購入するときだけでなく、購入した後の使い方や、不要になった衣類の手放し方まで含まれます。
例えば、長く使える衣服を選ぶこと、適切な手入れをしながら長期間着ること、修理して使い続けること、着なくなった服を別の人に譲ること、使用済み衣類を回収して新しい資源として活用することなどです。
「購入して、着て、捨てる」という一方向の消費から、できるだけ長く使い、次の人や新しい製品へつなげていくことが重要になっています。
なぜ今、衣類の環境問題が注目されているのか
ファッション産業では、衣類の大量生産・大量消費・大量廃棄による環境負荷が以前から課題となっています。
環境省によると、国内では衣服の供給量が増える一方で、衣服1枚当たりの価格は長期的に低下しています。
2024年の衣服1枚当たりの価格は3,211円で、1990年の6,192円から大きく低下しています。衣類を比較的安価に購入できるようになった一方、購入した衣服を短期間で手放す消費行動も課題として指摘されています。
環境省の調査では、1人当たりの年間平均で購入する衣服は約19枚、手放す衣服は約11枚とされています。
さらに、1年間に一度も着られていない衣服は1人当たり約24着あるとされ、家庭に保有されている衣服のうち、推計45%が使用されずに保管されています。
十分に着用しないまま衣服を廃棄すれば、その製造に使用された原材料やエネルギーも十分に活用されないことになります。
購入する量だけでなく、「購入した服をどの程度長く使うか」という視点も重要になっています。
国は2030年度までに家庭から廃棄される衣類を25%削減へ
国は、衣類の資源循環を進めるため、2030年度までに家庭から廃棄される衣類を2020年度比で25%削減するという目標を掲げています。
この目標は、2024年6月に策定された「繊維製品における資源循環ロードマップ」や、同年8月に閣議決定された「第5次循環型社会形成推進基本計画」に位置付けられています。
さらに、目標達成に向けた具体的な取り組みを整理するため、環境省は2026年3月に「サステナブルファッションの推進に向けたアクションプラン」を策定しました。
アクションプランでは、消費者だけでなく、自治体、衣料品メーカー、小売事業者、回収事業者、リユース・リサイクル事業者などが連携し、衣類の資源循環を進めていくことが重要とされています。
環境省では、使用済み衣類について「全国どこでも分けて出せる」社会を目指し、自治体や事業者による回収の取り組みを支援するとともに、自治体向けの衣類回収ガイドラインの検討なども進めています。
今回のキャンペーンは、こうした政策を生活者の具体的な行動につなげる取り組みの一つといえます。
「サステナブルファッション・キャンペーン」が目指すもの
2026年9月29日に発表された「サステナブルファッション・キャンペーン」では、季節の変わり目に行う「衣替え」などをきっかけに、一人ひとりが衣服との関わり方を見直すことを促しています。
キャンペーンで示されている代表的な考え方が、
「質の良い衣服を大切に着る」
「衣服は資源として次の世代、人、ものへつなぐ」
というものです。
これまでの衣類に関する環境対策では、再生素材の活用や製造工程の改善など、企業側の取り組みに注目が集まることも少なくありませんでした。
一方、衣類の資源循環を進めるためには、消費者自身が「買う」「着る」「手放す」というそれぞれの段階で行動を見直すことも重要です。
必要な衣服を選んで購入し、大切に長く使い、不要になった場合にはリユースや回収につなげる。
こうした行動を社会全体に広げていくことが、今回のキャンペーンの狙いです。
「サステナブルファッション・キャンペーン」が目指すもの
2026年9月29日に発表された「サステナブルファッション・キャンペーン」では、季節の変わり目に行う「衣替え」などをきっかけに、一人ひとりが衣服との関わり方を見直すことを促しています。
キャンペーンで示されている代表的な考え方が、
「質の良い衣服を大切に着る」
「衣服は資源として次の世代、人、ものへつなぐ」
というものです。
これまでの衣類に関する環境対策では、再生素材の活用や製造工程の改善など、企業側の取り組みに注目が集まることも少なくありませんでした。
一方、衣類の資源循環を進めるためには、消費者自身が「買う」「着る」「手放す」というそれぞれの段階で行動を見直すことも重要です。
必要な衣服を選んで購入し、大切に長く使い、不要になった場合にはリユースや回収につなげる。
こうした行動を社会全体に広げていくことが、今回のキャンペーンの狙いです。
企業・自治体などが参加する「サステナブルファッション・パートナー制度」
サステナブルファッションを社会全体で推進するため、国は「サステナブルファッション・パートナー制度」も創設しています。
制度は2026年8月に発表され、企業のほか、NPOなどの団体、自治体、学校なども参加対象となっています。
衣服の企画、生産、販売、着用、回収、リユース、リペア、リサイクルといった各段階で取り組む関係者をつなぎ、情報交換や連携を進めることが目的です。
2026年10月5日には、第1回「サステナブルファッション・パートナー総会」が東京都内で開催され、キャンペーンのロゴやキャッチコピーの発表、参加団体による取り組み紹介などが予定されています。
サステナブルファッションを一部の企業だけの取り組みにとどめるのではなく、企業、自治体、学校、団体などが連携して推進していく仕組みづくりが進められています。
私たちができるサステナブルファッション
サステナブルファッションと聞くと、「環境に配慮した新しい服を買わなければならない」と考える人もいるかもしれません。
しかし、新しい商品を購入することだけがサステナブルファッションではありません。
今持っている服を大切に長く使うことも、重要な取り組みです。
日常生活の中では、次のような行動が考えられます。
・購入する前に、本当に必要な服かを考える
・デザインだけでなく品質や耐久性も考えて選ぶ
・洗濯や保管方法を工夫して長く着る
・傷んだ場合は修理して使い続ける
・着なくなった服を家族や知人に譲る
・リユースショップやフリーマーケットを利用する
・自治体や衣料品店などの衣類回収を利用する
・回収後にどのようにリユース・リサイクルされるのかを確認する
環境省の推計では、現在所有している服を1年長く着ることで、日本全体で約5万トンの衣類廃棄量削減につながるとされています。
これは実際の削減実績ではなく、衣服の使用期間を1年間延長した場合を想定した推計値ですが、一着の服を長く使うという身近な行動にも、衣類廃棄物を減らす効果が期待できることを示しています。
「捨てる」だけではなく、次の使い道を考える
衣類の資源循環を進めるうえでは、使わなくなった衣服をどのように手放すかも重要です。
まだ着ることができる衣服であれば、家族や知人に譲ったり、リユースショップを利用したりすることで、別の人が引き続き使用できます。
衣服として再使用することが難しい場合でも、素材や状態によっては繊維原料などとしてリサイクルできる可能性があります。
現在では、自治体による古着回収のほか、衣料品メーカーや小売店が店舗で使用済み衣類を回収する取り組みも行われています。
ただし、回収された衣類がすべて同じ方法で再利用・リサイクルされるわけではありません。
衣類の素材、汚れ、破損状態などによって、その後の利用方法は異なります。また、自治体や事業者によって回収できる品目や条件も異なります。
衣類を手放す際には、自治体や回収事業者が定めるルールを確認し、適切な方法で排出することが大切です。
まとめ
2026年9月に開始された「サステナブルファッション・キャンペーン」は、衣服を大量に生産・消費・廃棄する社会から、長く大切に使い、次の人や新たな資源へつなげる社会への転換を促す取り組みです。
国は、2030年度までに家庭から廃棄される衣類を2020年度比で25%削減する目標を掲げています。
その実現には、メーカーや小売事業者、自治体、リユース・リサイクル事業者だけでなく、衣服を購入し、使用する私たち一人ひとりの行動も欠かせません。
新しい服を購入する前に、今持っている服をもう一度確認する。購入した衣服をできるだけ長く使う。着なくなった服をすぐに捨てるのではなく、誰かに譲ったり、適切な回収につなげたりする。
こうした身近な選択を積み重ねることが、衣類の廃棄を減らし、ファッションをより持続可能なものへ変えていくことにつながります。