コラム:アフリカの10年が地球の未来を決める——気候危機時代の分岐点
その中で注目すべき地域がアフリカだ。
今後の10年——この短い時間軸での意思決定と投資が、地球環境の行方を大きく左右する。
なぜ「アフリカの10年」が重要なのか
アフリカ大陸は 人口、森林、再生可能エネルギー資源、そして土地 の点で世界最大級のポテンシャルを持つ。
◆2050年には世界人口の4人に1人がアフリカ人
◆世界の未開墾農地の約6割がアフリカに存在
◆豊富な太陽光・風力・地熱資源を保有
◆温室効果ガス排出は低いにも関わらず気候被害の影響は最大級
つまりアフリカは、「環境負荷は少ないのに、影響は最も大きく受ける地域」という不均衡の象徴でもある。
ここに対し、再生可能エネルギーの整備、森林保全、資源循環型産業の確立が進めば、世界全体の脱炭素と生物多様性保全は大きく前進する。
鍵となるのは「再エネ」と「森林」
アフリカの環境対策で特にインパクトが大きいのは次の2点である。
1)再生可能エネルギーによる産業転換
太陽光・地熱発電の潜在量は世界トップクラスで、電化や産業基盤の拡大と同時に化石燃料依存からの飛躍が可能。
環境負荷の少ない電力網が整えば、国内産業だけでなくグリーン水素など次世代エネルギー輸出国になる未来も描ける。
2)森林保全とコミュニティの役割
コンゴ熱帯林をはじめとするアフリカの森林は、世界最大級の炭素吸収源であり「地球の肺」だ。
しかし違法伐採や土地収奪が進めば、地球温暖化はさらに加速する。
森林保全には、木を守るだけではなく地域住民に利益が還元される仕組みが不可欠である。
課題は「不平等」と「資金不足」
問題はアフリカの能力ではなく、仕組みの側にある。
◆環境投資資金が十分に流れない
◆気候被害の補償が進まない
◆国際ルール形成の場で発言力が弱い
特に、環境対策・災害対策の資金調達コストが先進国より極端に高いことは構造的な不平等だ。このままでは気候正義(Climate Justice)は実現しない。
世界はアフリカと「援助」ではなく「共創」に踏み出せるか
今後求められるのは次の3点である。
◆環境インフラへの投資拡大(再エネ・水・農業)
◆地域主体の森林保全モデルの拡大
◆国際会議でのアフリカの発言力強化
アフリカを「被支援者」とみなす時代は終わった。
世界は、環境・経済のパートナーとしてアフリカと共に未来をつくる段階に入っている。
【まとめ】アフリカの未来は地球の未来
アフリカの10年は、地球の100年を左右する。
環境破壊が進む世界で「希望のシナリオ」を実現できるかどうかは、再エネ・森林・資源循環を軸にしたアフリカ発の成長戦略にかかっている。
そして国際社会には、協力を加速する責任がある。