コラム:オーストラリア州で魚型しょうゆ容器を禁止へ|使い捨てプラスチック削減の取り組み

魚型しょうゆ容器とは?
魚型のミニ容器は、1954年に日本の渡辺照男氏が考案したもの。陶器やガラスから始まり、その後プラスチック製に変わり、テイクアウト寿司の定番アイテムとして世界中に広まりました。
しかし使用時間はわずか数秒程度であるにもかかわらず、環境中に流出すると数十年から数百年も分解されずに残ることが問題視されています。
なぜ禁止されるのか?
南オーストラリア州の環境相スーザン・クローズ氏は次のように指摘しています。
「魚型しょうゆ容器は一瞬で使われる一方、環境中では何十年も残り続ける。プラスチックごみによる海洋汚染を防ぐために規制は必要だ」
◆材質はリサイクル可能なポリエチレンですが、小さすぎてリサイクル機械で処理されにくい
◆結果として多くがリサイクルされず廃棄物となる
◆海洋ごみやマイクロプラスチック化の原因となり、生態系に悪影響を及ぼす
このような理由から、環境保護と脱炭素の観点で規制が強化されました。
規制の範囲
禁止対象はフタやキャップ付きの30ml入りしょうゆ容器です。
ただし、大容量ボトルや小袋パック(サシェ)は対象外で、寿司店やスーパーでは引き続きしょうゆを提供できます。
南オーストラリア州のプラスチック規制の流れ
同州は2023年に以下のプラスチック製品をすでに禁止しています。
◆レジ袋
◆プラスチックストロー
◆マドラー(ドリンク用)
◆綿棒
◆紙吹雪(コンフェッティ)
今回の魚型容器禁止は、この流れをさらに強化するものです。
世界的なプラスチック削減への警鐘
オーストラリア政府によれば、対策を講じなければ2040年までに海洋へ流出するプラスチックごみは年間2,900万トンに達すると試算されています。
国際的な調査でも、オーストラリアはプラスチックごみ対策において25カ国中7位と評価されており、今後も世界のリーダーとして政策を進める姿勢を示しています。
まとめ
◆魚型しょうゆ容器が南オーストラリア州で禁止へ(2025年9月~)
◆リサイクル困難で海洋汚染の原因となることが理由
◆既存のレジ袋・ストロー禁止に続く環境施策
◆持続可能な社会の実現に向けた一歩として注目
寿司やアジア料理に欠かせない象徴的な容器の禁止は、消費者にとって意外性のあるニュースですが、環境保護を進めるうえで重要な動きといえます。