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コラム:ミシガン州でチョウザメ放流イベント開催:地域と行政が進める絶滅回避の取り組み
2025/08/29

先史時代から生きる「生きた化石」チョウザメ

チョウザメは先史時代から存在する魚で、かつてミシガン州のサギノー川流域で豊富に見られました。しかし近年は個体数が急減し、現在は米国において「threatened species(脅威種)」として扱われています。絶滅危惧の一歩手前とも言える状況にあるため、保全活動は急務となっています。

こうした状況を受け、州と連邦の支援を受けた団体が継続的にチョウザメを孵化・育成し、放流する取り組みを行ってきました。その成果により、米国魚類野生生物局は昨年、チョウザメを「絶滅危惧種リスト」に追加する必要はないと判断しました。

サギノー湾チョウザメ再生プロジェクトの取り組み

サギノー湾地域では「サギノー湾チョウザメ再生グループ」が中心となり、春から夏にかけて数千匹のチョウザメを孵化・飼育。その後、ティッタバワッセ川(ミッドランド)、シャイアワッセ川(チェサニング)、フリント川(フリント)、カス川(フランケンムース)へと放流しています。

2025年8月22日(金)、同グループは通算7,000匹の放流という節目を迎えました。放流されたチョウザメはサギノー湾や五大湖に泳ぎ出し、成熟に15~25年を要したのち、2040年代には再びこの地域に戻り産卵・繁殖することが期待されています。

市民参加型の放流イベント

放流イベント当日には、一般市民も参加可能な催しが行われました。ミッドランド市のボブ・G・コールドウェル公共ボート乗り場には100人以上が集まり、実際にチョウザメを川へ放つ体験をしました。子どもたちも多数参加し、魚を「でこぼこしている」と表現するなど、環境教育の場にもなっています。

次回の放流イベントは2025年9月20日(土)に予定されており、詳細はサギノー湾チョウザメ再生プロジェクトの公式サイトで公開されます。

チョウザメがもたらす環境指標としての価値

ミシガン州立大学シーグラント教育者のミーガン・ガス氏は次のように語ります。
「チョウザメは200年以上生きる可能性があり、水環境の健全性を示す“生きた指標”です。チョウザメがサギノー川流域に戻ってくることは、この地域の水質改善の大きな証となります。まだ生息環境や水質改善の余地はありますが、州や連邦の支援による再導入は非常に重要です。」

まとめ

サギノー湾で進められているチョウザメ再生プロジェクトは、単なる魚類保護にとどまらず、水質改善や地域コミュニティの環境意識向上にもつながる取り組みです。市民が参加できる放流イベントは、自然とのつながりを実感できる貴重な機会であり、今後も継続的な活動が期待されています。