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コラム:【2025年最新動向】NASA 衛星データが示す水循環極端現象の急増
2025/06/20

2025年、NASA 衛星が映し出した「水の危機」とは

地球観測衛星 GRACE/GRACE-FO が 2002〜2023 年に集めた地下水と土壌水分のデータをまとめた結果、干ばつと豪雨(洪水)の規模が年々拡大していることが分かりました。直近 5 年(2019〜2023 年)だけを抜き出すと、過去平均(2003〜2020 年)の 約 2 倍の強さに達しています。


どうしてそんなに極端になるのか

・暖かい空気は水分をたくさん含む
 温暖化が進むほど、降るときは「一度に大量に」降りやすくなります。

・雨の“偏り”が激しくなる
 雨が少ない地域はさらに乾き、多い地域は豪雨が集中する両極端化が起きています。

・人間の活動も拍車をかける

 森林伐採や地下水のくみ上げが、自然のバランスを崩しています。


影響はどこに出る?

農業:作物の不作や用水コストの上昇
都市インフラ:集中豪雨による浸水、ダム運用の難度アップ
健康と経済:飲み水不足、洪水後の感染症、保険料の値上げ


企業と自治体が今できること

1.リスクを数値で“見える化”
 NASA データや国内観測を突き合わせ、自社拠点や取引先の干ばつ・洪水リスクを把握する。
2.優先度の高い適応策を選ぶ
 乾燥域なら再生水や耐乾性作物、豪雨域なら雨水貯留・透水性舗装などを早めに導入。
3.情報開示と定期的なアップデート
 TCFD など国際基準に沿ってリスクと対策を公開し、毎年見直す。


なぜ「今」取り組むべきか

Nature Water の論文でも、干ばつと豪雨の強度は気温上昇と強い相関があると報告されています。
この傾向が続けば、農業・インフラ・金融のあらゆる分野でコストとリスクが増大します。温室効果ガスの削減(緩和策)と、被害を抑えるための備え(適応策)を同時に進めることが、持続可能な経営・行政の鍵になります。


まとめ

GRACE/GRACE-FO 衛星は、干ばつと洪水という「水循環の両極端」が加速している現実を示しています。温暖化が続く限り、こうした極端現象はさらに深刻化する見通しです。企業や自治体は、温室効果ガスの排出削減(緩和)とインフラ強靱化(適応)の双方に投資し、リスクの見える化と情報開示を継続することで、持続可能な経営と地域づくりを目指す必要があります。