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コラム:クリーンエネルギーが世界の電力の4割に到達!再生可能エネルギーの現状と課題
2025/04/14

世界の電力供給において、クリーンエネルギーの割合が40.9%に到達したと、国際的なシンクタンク「Ember(エンバー)」が2025年4月に発表しました。地球温暖化への対策が急務となるなか、太陽光や風力などの再生可能エネルギーが果たす役割はますます大きくなっています。

この記事では、クリーンエネルギーの最新動向や太陽光発電の急成長、温室効果ガス排出の課題、今後の展望までをわかりやすく解説します。


クリーンエネルギーとは?基礎知識と種類

クリーンエネルギーとは、化石燃料を使わず、二酸化炭素などの温室効果ガスを排出しない、あるいは非常に少ない方法で発電する電力のことです。主に、太陽光、風力、水力、そして原子力発電がこれに該当します。地球温暖化対策として注目されており、各国が導入を加速させています。

世界の電源構成に占めるクリーンエネルギーの割合

2024年の時点で、クリーンエネルギーの割合は全体の約4割に達しました。中でも、水力発電が最大のシェアを占め、次いで原子力、風力、太陽光の順で構成されています。とはいえ、依然として石炭や天然ガスといった化石燃料が全体の過半数を占めており、脱炭素への道のりは容易ではありません。

太陽光発電が牽引する再生可能エネルギーの成長

太陽光発電は、再生可能エネルギーの中でも特に急成長を遂げている分野です。過去3年間で発電量は倍増しており、20年連続で最も成長率が高い電力源となっています。安価で設置も比較的容易な点が広く普及する要因となっており、住宅や商業施設、さらには山地や遊休地などでの導入が進んでいます。

成長の中心は中国で、世界の太陽光発電増加量の過半数を占めているほか、インドも大きく追随しています。特にインドでは、2023年から2024年にかけて発電量が倍増するという飛躍的な成長が見られました。

急増する電力需要と二酸化炭素排出のジレンマ

2024年は世界的に気温が高く、エアコンの使用増加により電力需要が前年比で約4%増加しました。これに伴い、石炭やガスといった化石燃料による発電が1.4%増加し、二酸化炭素の排出量は過去最高の146億トンに達しました。石炭が発電全体の約3分の1、ガスが約5分の1を占めており、依然として大きな割合を占めています。

とくに中国やインドなど、急成長を遂げるアジアの新興経済国では、電力需要の増加に応えるため、化石燃料による発電の割合が依然として高く、温室効果ガスの削減が思うように進んでいません。

なぜクリーンエネルギーの割合は上昇しても排出量は減らないのか?

再生可能エネルギーは確実に増えているものの、全体の電力需要の伸びがその成長を上回っているため、結果として温室効果ガスの排出量が減少に転じていないのが現状です。

エンバーの報告書でも指摘されている通り、「再エネの成長」と「電力消費の増加」のバランスが取れていない限り、地球温暖化対策としての効果は限定的です。たとえクリーン電力の比率が上昇していても、総需要が増えれば排出量も増加するというジレンマに直面しています。

1940年代以来の快挙と今後の課題

今回、クリーンエネルギーが世界の電力の4割を超えたのは、実に1940年代以来のことです。当時は電力需要自体が小さく、水力発電が中心でした。現在は状況が大きく異なり、経済成長や人口増加により世界の電力需要はかつてない規模に達しています。

このため、今後の課題としては以下が挙げられます。

◆再生可能エネルギーのさらなる導入と送電網の整備
電力消費の効率化と省エネ技術の普及
新興国のエネルギー政策転換と国際協力の推進

    まとめ:再エネは伸びている、しかしCO₂削減は道半ば

    クリーンエネルギーは確実に世界の電力構成の中で存在感を増しており、太陽光を中心に今後も成長が見込まれます。しかし、温室効果ガスの排出量は依然として高く、再エネの拡大だけでは気候変動を抑え込むには不十分です。

    世界各国の政策転換と、個々の取り組みの積み重ねによって、持続可能な未来が実現されるかどうかが試されています。